示談とは | 交渉の流れや成立前に注意すべきこと

示談とは | 交渉の流れや成立前に注意すべきこと

交通事故に遭った場合、乗っていた車は破損し、多くの被害者の方は怪我を負います。 こうした車や怪我の被害、例えば、車の修理費用や治療費などを誰がどれだけ負担するのかを交通事故の加害者側と協議して示談する必要があります。 しかし、被害者の方にとって、交通事故に初めて遭ったという方も多く、また体も痛む中で加害者側と協議して示談まで至ることは大変であり、またそもそも協議といっても何をどうすればよいのか分からないことも多いかと思います。

そこで、本記事では、交通事故に精通した弁護士法人ALGの神戸法律事務所の弁護士が、交通事故での示談交渉をするにあたり、示談とは何か、示談をする上での注意点などを解説していきます。

交通事故における示談とは

交通事故における示談とは、交通事故に関する紛争を当事者による合意で解決することをいいます。
交通事故において示談が成立すると、当事者の合意によって交通事故に関する紛争は基本的には解決したこととなり、加害者と被害者は、成立した示談内容を実現しなければなりません。

例えば、加害者は、被害者に対して、決められた慰謝料等を支払わなければなりませんし、被害者は、加害者に対して、示談で決めた額以上の金銭を請求できなくなるなどします。
このように、示談が成立すると、被害者の方もその示談内容に拘束されてしまうため、示談を成立させる際には慎重にならなければなりません。

示談金に含まれているもの

交通事故における示談金は、交通事故で生じた損害を補償するものです。
交通事故で生じる損害は、車など物に関する損害(「物損」「物的損害」といいます。)と怪我の治療費など人に関する損害(「人損」「人身損害」といいます。)に分けることができます。

ここで、物的損害としては、一般的に、①車などの修理費用、②レッカー費用、③代車使用料などがあります。そのため、物的損害についての示談金には、これらの①~③などが含まれています。

他方、人身損害としては、一般的に、④治療関係費、⑤通院交通費、⑥休業損害、⑦通院慰謝料、⑧後遺障害慰謝料、⑨逸失利益などがあります。そのため、人身損害についての示談金については、これら④~⑨などが含まれています。

交通事故の示談金に相場はある?

交通事故の示談金の相場を一律に考えることは難しい面があります。
というのも、事故の大きさ、怪我の内容・程度、怪我が完治したかもしくは症状が残存したか、残存した症状の内容・程度などによって、被害者の方の被害の程度は大きく異なることがあり、その結果、示談金も大きく変動するからです。
しかし、費目ごとに一定程度の相場を算定することは可能です。

例えば、⑦通院慰謝料の場合、怪我の程度・内容、通院期間や通院実日数を基礎として算定することが一般的であるため、怪我の程度・内容、通院期間や通院実日数が分かれば、通院慰謝料の金額の相場を算定することが可能です。

なお、⑦通院慰謝料や⑧後遺障害慰謝料を算定する際には、自賠責基準や任意保険基準、裁判基準の3種類あり、どの基準を用いるかで、通院慰謝料の金額は大きく変わります。

通院慰謝料等については詳しくは以下の記事もご参照ください。

交通事故の慰謝料とは

示談交渉の流れ

示談交渉のおおまかな流れについて、物的損害・人的損害に分けて説明していきます。

物的損害について(追加)

交通事故が発生した後、物的損害に関する示談交渉は、以下のような流れで進みます。

【①事故発生→②修理費、代車費用等の算定→③加害者側との交渉→④示談成立】

これを詳しく見ていきます。
まず、①事故が発生し、車両が破損等した場合、②修理工場に入庫するなどして修理費がどれくらいかかるのか、また修理中の代車費用がどれくらいかかるのかなどを算定することになります。
そして、③修理見積を見て、経済的全損(修理費>事故車両の時価額等)なのか分損(修理費<事故車両の時価額等)なのかを確定しながら、被害者の方として、修理するのか買い替えるのか等を検討しながら④加害者側と示談することになります。

人身損害について(追加)

交通事故が発生した後、人身損害に関する示談交渉は、以下のような流れで進みます。

【①事故発生→②怪我の治療→③後遺障害の等級認定申請→④加害者側との示談交渉→⑤示談成立】

これを詳しく見ていきます。

まず、①事故が発生し、被害者の方が怪我を負った場合、まずは、②その怪我を治療する必要が生じます。
そして、治療を一定期間続けて、その怪我が治らずに残った場合、③後遺障害の等級認定申請をして、その残存した症状が交通事故と関連性があり、将来において回復が困難な障害かどうか(「後遺障害」といいます。)を判断してもらうことが基本です。

そして、後遺障害の等級認定の結果を踏まえて、適正な賠償額を算定し、いよいよ④加害者側と示談交渉を開始することとなります。
このように、人身損害に関する示談交渉は、②怪我の治療、③後遺障害の等級認定申請が終わった後から実際に始まっていくことになります。

なぜなら、②怪我の治療のために要した治療費は加害者側へ請求することになり、また、通院した期間や実際に通院した日数は通院慰謝料を算定する際の重要な要素となるところ、どれくらい治療費を要したか、どれくらい通院期間を要したかはあらかじめ予測することは困難だからです。さらに、症状が残存し、③仮に後遺障害等級が認定された場合には、後遺障害慰謝料や逸失利益も計算した上で加害者側へ請求することになるためです。

示談にかかる期間

交通事故の示談に要する時間は、怪我の内容・程度、被害の大きさ、加害者側がどの程度争ってくるのか等によって千差万別です。

しかし、2.1で見たとおり、物的損害に関する示談の場合、人身損害に関する示談と比較して一般的に短期間で示談が成立することが多いです。なぜなら、修理費や事故車両の時価額など客観的な損害額の算定がしやすいためであり、また、治療の終了を待つなどの必要もないためです。
ただし、交通事故の過失割合で争いが生じた場合、示談成立まで時間がかかる可能性はあります。

他方、2.2で見たとおり、人身損害に関する示談の場合、示談に要する期間は長期化する傾向にあります。なぜなら、被害者の方はまずは怪我の治療をする必要があり、また、治療を続けても症状が残存した場合には、後遺障害の等級認定申請などの手続も経る必要があり、損害額の算定自体に時間を要するためです。

示談交渉が進まない場合の対処法

示談交渉において、過失割合や慰謝料額で争いが生じており、また加害者側の言い分に納得ができない等の事情があると、なかなか折り合いがつかず、交渉が進まないというケースもあります。
こういった場合、早期解決のために多少譲歩して解決を図っても良いですが、適正な賠償額からどれくらい乖離しるのかを事前に検討しておくべきです。

過失割合や慰謝料の額などは、適正なものから乖離している場合には、専門家による交渉、ひいては裁判という解決方法もあることから、交通事故に詳しい弁護士に相談し、アドバイスを受けるべきです。また、加害者側と直接話して交渉するのが苦痛・苦手ということであれば、なおさら、弁護士に依頼して、代わりに加害者側と示談交渉してもらうことを検討してください。

加害者が無保険だった場合の示談交渉

加害者が無保険だった場合として、①自賠責保険も任意保険もともに未加入のケースにはもちろん注意が必要ですが、②自賠責保険に加入しているが、任意保険に未加入のケースもありますので、こちらにも注意すべきです。

まず、①自賠責保険も任意保険ともに未加入のケースでは、まず、加害者本人への請求が基本です。ただし、加害者本人に多額の賠償金を支払う資力がないことも多いため、被害者の方は治療費等の負担を軽減するためにも、健康保険か労災保険の使用を検討しましょう。
また、被害者の方自身の保険として人身傷害補償特約などを付けていることもありますので、ご自身の保険も確認するようにしましょう。

次に、②自賠責保険に加入しているが、任意保険に未加入のケースについても、最終的には加害者本人への請求をすることになるでしょう。
というのも、自賠責保険は人身損害のみを対象としているために、物的損害については加害者本人へ請求しなければなりませんし、人的損害についても自賠責保険で全て補填されるわけではないためです(例えば、傷害部分は治療費・慰謝料等の合計で120万円の上限があります。)。
この場合も、健康保険や労災保険の使用、人身傷害補償特約が使えるかなどを確認するようにしましょう。

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交通事故の示談交渉で注意すべきこと

では、交通事故において示談交渉する場合に注意すべきこととしてどのようなものがあるか見ていきましょう。

示談交渉は「人身事故」でおこないましょう

まず、交通事故で怪我をした場合、警察に人身事故(事故に遭い怪我をしたこと)として届け出ることが重要です。
なぜなら、被害者の方が怪我をしたにもかかわらず、人身事故の届け出をしていないことは不自然ですし、人身事故として届け出た場合、実況見分調書という事故態様に関する資料が作成され、事故状況や過失割合で争いが生じた場合に有用な資料となるためです。

ただし、人身事故の届け出をせずに物損事故で届け出ていたとしても、自賠責保険への請求の際、「人身事故証明書入手不能理由書」という書類を併せて申請すれば、自賠責保険を利用することが可能となります。
事故当初、物損事故として警察に届け出ていたとしても、事故から2週間程度であれば、人身事故への切り替えがしやすいかと思いますので、人身事故への切り替えは早めに行うようにしましょう。

示談してしまうと撤回できません 

示談は一旦成立すると、成立後に示談内容・示談金を変更することや撤回することは、基本的にできません。示談というのは、交通事故に関する紛争を合意で解決し、後から蒸し返さないように約束するものだからです。

例えば、早期に示談をしたものの、示談をした後も治療を継続する必要があり、治療費が過剰にかかったというケースもないわけではありません。この場合、一旦示談した後ですので、示談後の治療費や慰謝料などを追加で請求することは非常に難しいでしょう。

こういった事態を避けるために、治療は十分に受け、完治したか、症状固定として症状が残存したとするか等を医師と十分に相談した上で、治療を一区切りした後で示談に臨むべきでしょう。

示談を相手任せにしたり、焦ったりすると不利な結果となる場合があります

交通事故で、加害者が任意保険に加入している場合、加害者の加入する保険会社が示談交渉の相手となることがほとんどです。
保険会社だからといって被害者の方に親切に対応してくれるとは限りません。あくまでも「加害者の加入する」保険会社ですし、保険会社も営利企業ですので、被害者の方の味方というわけではないので、注意してください。

よくあるケースとしては、示談交渉の際に、加害者側の保険会社が「この金額が、今回の交通事故の慰謝料の適正な額です。」と言いながら金額を提示するのですが、その提示額は、弁護士が確認すると、適正な賠償額から乖離し、非常に低額であることがほとんどです。

そのため、加害者側の保険会社から提示された金額で示談を成立させるべきではなく、示談してしまう前に、交通事故に精通した弁護士に必ず相談するようにしましょう。

損害賠償請求権には時効があります

交通事故を原因とする損害賠償請求には、当然時効があります。
物的損害については、事故から3年間、人的損害については、事故ないし症状固定から5年(民法の改正により、2020年4月1日時点で時効が完成していないものは、改正民法の時効が適用され、5年に延長されました。ただし、自賠責保険への請求は引き続き3年です。)の時効にかかることになります。

一度時効が完成して援用されてしまうと、それ以降損害賠償請求をして、相手方と示談を成立させることは非常に困難となります。
こういった事態を避けるために、交通事故の示談が難航した場合には、交通事故に詳しい弁護士に相談・依頼し、訴訟提起も視野に入れるなどの対策を取るべきです。

成立前の示談書チェックポイント

交通事故の示談が成立した場合、後から蒸し返したりして紛争が生じないように、示談書を作成することが基本です。
このとき、示談金の額などが口頭でまとまったとしても、示談書を取り交わして示談を完了するまでは気を抜かないようにしましょう。
示談書を作成する際に、注意するべき点は、口頭で約束した内容がきちんと反映されているか、例えば、示談しようとする金額が間違いなく表示されているかなどの点です。
示談書を完成してしまうと、後で争えなくなるのが基本なので、示談書を完成させる前に、一度、交通事故に精通した弁護士に相談しましょう。

交通事故の示談交渉で、不安に思うことがあれば示談成立前に一度ご相談下さい

これまで見てきたとおり、交通事故の示談をする際に、注意することは非常に多く、こうした点に気を払いながら、相手方と示談交渉をすることは、交通事故で怪我を負った方には大きな負担となります。
また、示談内容、特に金額が適正かどうかを判断するのは、専門的な知識がない限り、非常に困難で、一から知識を学ぶというのも現実的ではありません。
そのため、交通事故の示談交渉で、少しでも不安や疑問に思うことがあれば、交通事故に詳しい弁護士に相談すべきです。

弁護士法人ALGは、交通事故の被害者側の対応に特化した事務所であり、弁護士法人ALGの神戸法律事務所の弁護士も数多くの被害者の方の示談にお力添えをしてきました。
こういった被害者の方のお悩みや負担などについては、交通事故の示談に関して数多くの実績を積んでいる弁護士法人ALGの神戸法律事務所の弁護士に一度ご相談ください。

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この記事の監修

弁護士法人ALG&Associates 神戸法律事務所 所長 弁護士 小林 優介
弁護士法人ALG&Associates 神戸法律事務所 所長弁護士 小林 優介
兵庫県弁護士会所属。弁護士法人ALGでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。
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