離婚調停で親権を獲得するポイント

離婚問題

離婚調停で親権を獲得するポイント

神戸法律事務所 所長 弁護士 小林 優介

監修弁護士 小林 優介弁護士法人ALG&Associates 神戸法律事務所 所長 弁護士

離婚調停で親権を争う場合、「子供と一緒に暮らしたい」という気持ちだけで親権を獲得できるとは限りません。

家庭裁判所は、これまでの監護実績や離婚後の養育環境、子供の意思などの事情を考慮し、総合的に親権者を判断します。親権を獲得するには、どのような点が重視されるのかを事前に理解し、適切に準備することが重要です。

この記事では、離婚調停で親権を獲得するためのポイントについて、詳しく解説していきます。

離婚調停で親権者を判断するポイント

家庭裁判所は、主に以下の要素を重視して親権者を判断します。

  • ① 子供への愛情
  • ② 今までの監護実績
  • ③ 離婚後の養育体制
  • ④ 親族の協力の有無
  • ⑤ 離婚後の経済状況
  • ⑥ 子供の年齢、意思
  • ⑦ 親の健康状態

裁判所は、これらの事情を総合的に考慮して親権者を決定するため、一つの要素を満たしていればよいというわけではありません。

例えば、離婚後の養育体制が十分でも、これまでの監護実績が乏しければ、親権争いで不利になる可能性があります。

子供への愛情

親権者を決める際は、子供への愛情の深さも判断要素の一つです。

裁判所は、これまでどのように子供と関わってきたのかという具体的な行動を重視します。単に「子供を愛している」と口頭で主張するだけでは、有利な事情として考慮してもらえません。

例えば、毎日の食事の世話や保育園・学校の送迎、病院への付き添い、行事への参加などは、子供への愛情を示す事情として評価される可能性があります。

今までの監護実績

今までの監護実績は、親権者を判断するうえで特に重視される要素です。

監護とは、子供の日常生活全般の世話や養育を行うことをいいます。
例えば、食事の準備や入浴の補助などが該当します。

裁判所は、「これまで主に誰が子供の世話を担ってきたのか」を重視する傾向があるため、監護実績を具体的に説明できるよう準備しておくことが重要です。育児日記や学校・園との連絡記録などは、監護実績を裏付ける資料として役立つ可能性があります。

離婚後の養育体制

裁判所は、親権者になりたいという希望だけでなく、離婚後の養育体制が整っているかどうかも重視します。

例えば、「勤務時間が柔軟で子育てと両立できる」「自宅から保育園や学校へ通いやすい」などは、有利な事情となります。

一方、仕事が忙しく子供と接する時間を確保できない場合は、不安要素として評価される可能性があるため注意が必要です。子供が安心して生活できる環境や具体的な養育計画を示すことが、親権獲得に向けて重要です。

親族の協力の有無

離婚後の養育体制を考えるうえで、親族の協力の有無も重要な判断要素です。

例えば、仕事中の子供の送迎や、病気の際の預かりを祖父母が担えるかなどが挙げられます。親族から必要な場面で協力を得られる環境があれば、安定した養育体制として評価される可能性があります。

ただし、親権者自身が子育ての中心的な役割を担うことが前提です。親族の協力はあくまで補助的なものとし、自らが主体的に養育する体制を示すことが重要です。

離婚後の経済状況

離婚後の経済状況は、子供を安定して養育できるかどうかを判断するうえで重視されます。
収入が高い方が有利と考えられがちですが、経済力だけで親権者が決まることはほとんどありません。

一定程度の生活基盤は必要なものの、高収入であることが必須条件ではないのが実情です。
そのため、経済状況は監護実績や養育環境と比べると決定的な要素ではなく、他の事情と併せて総合的に評価されるのが一般的です。

子供の年齢、意思

親権者を決める際には、子供の年齢や意思も重要な要素です。一般的に15歳以上の子供については、家庭裁判所によって子供の意思が確認されます。

また、15歳未満であっても、10歳前後であれば一定の判断能力が備わっていると考えられるため、子供の希望が尊重される傾向があります。

子供の年齢が低い場合でも、子供の生活状況や親子関係は重要視されるため、日頃から良好な関係を築いておくことが大切です。

親の健康状態

親権者を判断する際には、親の健康状態も考慮されます。
ただし、病気があるだけで直ちに不利になるわけではありません。

例えば、高血圧や糖尿病などを患っていても、適切な治療のもとで通常どおり育児ができれば、問題視されないのが一般的です。

一方、重度のうつ病や精神疾患により育児が困難である場合は、不利に評価される可能性があります。重要なのは病名そのものではなく、子供を継続的かつ安全に養育できる状態にあるかどうかです。

親権者を決める際の離婚調停の流れ

親権者を決める際の離婚調停は、主に以下のような流れで進みます。

  1. 離婚調停の申立て
  2. 調停期日での話し合い
  3. 家庭裁判所調査官による調査(必要な場合)
  4. 調停成立または不成立

調停では、監護実績や養育環境などについて、双方の主張や資料をもとに話し合いが進められます。親権について合意できれば調停成立となり、合意できなければ調停は不成立です。

不成立の場合、離婚裁判で最終的な判断が行われることになります。

離婚調停の申立て

離婚調停の申立ては、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所(もしくは夫婦で合意した家庭裁判所)に必要書類を提出することで行えます。

【主な必要書類】

  • 申立書およびその写し1通
  • 夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 事情説明書
  • 収入印紙1200円分
  • 連絡用郵便切手(裁判所によって異なります) など

申立て後は、裁判所から指定された日時に調停期日が開かれ、調停委員を介して話し合いが進められます。

家庭裁判所調査官による調査

親権について夫婦の主張が対立している場合、家庭裁判所調査官による調査が行われることがあります。

家庭裁判所調査官とは、子供の福祉や家庭環境について専門的な知識を持つ裁判所の職員です。

調査官は、父母それぞれとの面談や家庭訪問、保育園・学校などへの聞き取りだけでなく、子供の面接を通じて現在の監護状況や親子関係を調査します。
調査結果は報告書として裁判所に提出され、親権者を判断する際の重要な資料となります。

離婚調停で親権者が決まらず不成立になった場合

調停が不成立となった場合は、家庭裁判所に離婚裁判を起こし、裁判所に親権者を決めてもらうことになります。離婚調停は、あくまで夫婦の話し合いによる手続きであり、双方が合意しなければ成立しないためです。

裁判では、調停時に提出した資料にプラスして、家庭裁判所調査官の調査結果や監護実績、養育環境などの事情が考慮され、親権者が判断されます。
調停が不成立となった場合は、裁判を見据えた証拠収集や主張の整理を早めに進めることが重要です。

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離婚調停で親権を獲得するためのポイント

調停委員を味方につける

離婚調停では、調停委員との信頼関係を築くことも重要です。調停委員とは、当事者双方の意見を聞きながら、中立な立場で話し合いを進行する役割を担う人のことです。

味方につけるといっても、調停委員に相手方の悪口を繰り返し伝えることではありません。

大切なのは、子供の利益を第一に考えている姿勢を示すことです。感情的な発言は避け、誠実に対応することで、調停委員に自分の主張を理解してもらいやすくなります。

自分が親権者として適していることを主張する

離婚調停で親権を獲得するためには、自分が親権者としてふさわしいことを具体的な事実に基づいて主張するのが重要です。

食事の準備や送迎、学校行事への参加、病院への付き添いなどを継続して行ってきた場合は、その内容について具体的に説明します。

また、離婚後の住居や勤務状況、子供の生活リズムを維持するための計画などもアピールポイントです。相手方の批判ばかりを繰り返しても、有利になるとは限りません。

調査官調査に協力する

家庭裁判所調査官による調査が行われる場合は、誠実かつ協力的な姿勢で対応することが重要です。

調査官は子供の生活状況や親子関係、養育環境などを客観的に調査し、その結果を裁判所に報告します。調査への協力を拒否したり、正当な理由なく面談を欠席したりすると、不利な印象を与えるおそれがあるため注意が必要です。

子供の利益を第一に考えながら、調査官の質問には誠実に回答し、調査に協力する姿勢を示しましょう。

離婚調停で父親が親権を獲得した解決事例

<事案の概要>

ご依頼者様は、相手方の不貞行為を理由に離婚を決意し、2人の子供の親権を獲得したいとのことで相談に来られました。

<弁護士の対応>

弁護士は、まず協議のうえで別居を行い、ご依頼者様が2人の子供を監護養育する体制を構築するようアドバイスしました。また、探偵の調査報告書を精査し、相手方の不貞に関する証拠関係を確認したうえで、別居後に交渉を開始しました。

相手方は別居後、不貞相手と同居していたため、親権の取得は困難であると判断し、離婚交渉を進めました。交渉では、親権の獲得や慰謝料請求について粘り強く主張するとともに、不貞相手に対する慰謝料請求も行いました。

その結果、相手方は親権について争わなくなりましたが、財産分与などの金銭面で対立が残ったため、調停を申し立てました。

<結果>

調停の結果、相手方へ支払う財産分与を減額するとともに、200万円の支払いを受ける内容で調停が成立しました。ご依頼者様は、2人の子供の親権に加え、合計700万円の経済的利益を獲得することができました。

親権と離婚調停に関するQ&A

共同親権導入後は調停無しで親権を獲得できますか?

いいえ、共同親権制度が導入された後も、調停を行わずに親権を獲得できるとは限りません。

共同親権にするかどうかや、親権の行使方法について夫婦間で合意できない場合には、従来どおり調停や裁判の手続きが必要です。

また、共同親権の判断にあたっては「子供の利益」が最優先されます。
そのため、夫婦間で意見が対立している場合は、最終的に裁判所が子供の生活状況や養育環境などを踏まえて判断することになります。

離婚調停中に相手方が子供を連れ去った場合、親権への影響はありますか?

はい、離婚調停中に相手方が正当な理由なく子供を連れ去った場合は、子供の利益に反する行為として評価され、親権争いで不利になる可能性があります。

もっとも、子供を連れ去った事実だけで、直ちに親権者が決まるわけではありません。裁判所は、連れ去りの経緯や態様、子供への影響を踏まえて総合的に判断します。

なお、悪質なケースでは、未成年者略取誘拐罪に問われる可能性があります。

離婚調停中に夫婦のどちらかが死亡してしまった場合、親権は自動的にもう一方が得ることになりますか?

はい、離婚調停中に夫婦の一方が死亡した場合は、原則として生存している親が親権者となります。
離婚調停が成立していない以上、法律上の婚姻関係は継続しているためです。

ただし、生存している親が長期間子供を監護しておらず、主に祖父母などが養育していた場合には、その後の監護方法について別途検討が必要になることもあります。

もっとも、特別な事情がない限り、生存している親が親権者となるのが一般的です。

離婚調停で決めた親権者を変更することはできますか?

はい、離婚調停で決めた親権者を後から変更することは可能です。

例えば、親権者による虐待やネグレクトがある場合には、変更が認められる可能性があります。

ただし、親権者変更には家庭裁判所の許可が必要であり、単に気が変わったという理由だけでは認められません。親権者変更は子供の生活環境に大きな影響を及ぼすため、そのハードルは決して低くないといえます。

親権変更の詳細については、以下のページをご覧ください。

親権の変更について

妊娠中に離婚調停を行った場合の親権はどうなりますか?

妊娠中に離婚調停を行った場合の親権は、出産のタイミングによって異なります(民法第819条3項)。

  • 子供が生まれる前に離婚が成立した場合
    原則として母親が親権者となります。
  • 子供が生まれた後に離婚が成立した場合
    夫婦が話し合いによって親権者を決めます。

出産直後は、母親が主に子供の世話を担うケースが多いです。
父親は監護実績が乏しくなりやすいため、親権者として認められることは容易ではありません。

離婚調停で親権を獲得したい方は、弁護士に依頼してみませんか?

離婚調停で親権を獲得するためには、「子供と一緒に暮らしたい」という思いだけでなく、これまでの監護実績や養育体制などを適切に主張・立証することが大切です。

しかし、調停の場では感情的な対立が生じやすく、自分では十分に説明したつもりでも、裁判官や調停委員にうまく伝わらないことが少なくありません。

弁護士は、親権判断で重視されるポイントを踏まえた主張や証拠収集について、法的サポートを行うことができます。また、相手方とのやり取りによる精神的な負担を軽減できる点も、弁護士に依頼する大きなメリットです。

離婚調停で親権の獲得を目指している方は、ぜひお気軽に弁護士へご相談ください。

神戸法律事務所 所長 弁護士 小林 優介
監修:弁護士 小林 優介弁護士法人ALG&Associates 神戸法律事務所 所長
保有資格弁護士(兵庫県弁護士会所属・登録番号:57264)
兵庫県弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。