交通事故を得意とする弁護士の探し方

交通事故は、自動車、交通網の発達に伴い日々多発するものであり、弁護士特約（いわゆる「弁特」）の存在もあってか膨大な裁判例の蓄積がある分野です。
裁判所にも専門部（当該案件を専門的に扱う部）が置かれているほどです。例えば、神戸地方裁判所では、第一民事部が交通事故の専門部となっています。

では、こういった交通事故に関する案件を得意とする弁護士についてはどのように探すのが良いでしょうか。

知人や弁護士会などからの紹介

まず、被害者の方の知り合いに弁護士がいらっしゃる場合、まずは、その先生に依頼するということが考えられます。もともと被害者の方との間に人的な関係があれば、その先生は被害者の方のために必死になって弁護活動をしてくれる可能性があります。

しかし、弁護士であれば、誰もが交通事故案件についての経験が豊富な弁護士とはいえません。上記したとおり、交通事故は膨大な裁判例の蓄積がある専門的な分野であり、保険・医学・実務などあらゆる知識を要求されるため、経験豊富で交通事故案件に関する知識等を十分に有している弁護士でないと、被害者の方のために適正な賠償金を獲得できなかったり、却って事件解決までに時間がかかったりするなどの弊害もありうるところです。

インターネットを利用して探す

それでは、インターネットを利用して弁護士を探してみるのはどうでしょう。
本記事をご覧になっているということは、既にインターネットを利用して弁護士を探しているのではないかと思います。例えば、「交通事故　弁護士　地名」と検索すれば、その地域に事務所をかまえる様々な弁護士に簡単にアクセスできるでしょう。

しかし、弁護士の数は年々増えていますから、どのような弁護士が所属している事務所なのか、何を得意とする弁護士なのか、などの情報にアクセスし易い社会になっていることは良いことですが、結局はインターネット上の表記をどこまで信じてよいのか、結局はどの弁護士が良いのかということで、どの弁護士に頼んでよいか迷われるのではないかと思います。

保険会社から弁護士を紹介してもらう

保険会社は、複数の弁護士事務所と顧問契約を結んでいることがあります。
そこで、保険会社から弁護士を紹介してもらえば、紹介された弁護士は交通事故を扱った経験が少なくはない弁護士といえるでしょう。

しかし、あくまでも保険会社が紹介する弁護士は、被害者の方より保険会社との結びつきが強い弁護士にすぎません。もちろん、被害者の方にとって最良の弁護士を紹介してくれる可能性ももちろんありますが、保険会社にとって関係性の良い弁護士を被害者の方に紹介する可能性が高いでしょう。

そして、保険会社から紹介された弁護士は、被害者の方の利益を一番に考えて動いてくれるでしょうか、そうは言えないことも多いのではないでしょうか。被害者に遭われた方は、当然被害者自身にとっての交通事故を適切に解決してくれる弁護士に依頼すべきです。

交通事故に強い弁護士・法律事務所の選び方

結局、交通事故に強い弁護士、法律事務所についてはどのように選べばよいのでしょうか。

上記では、①知り合いの弁護士に依頼する、②インターネットを利用してホームページから弁護士にアクセスする、③保険会社に紹介してもらう、などの選び方をご紹介してきました。

こうした複数の選択肢から誰に依頼すればいいのかという際に、どういう視点でどんな情報を集めて何を基準に誰に依頼すれば、被害者の方にとって交通事故を適切に解決できるかを一緒に考えていきましょう。

交通事故の示談交渉の経験が豊富

まず、交通事故に強い弁護士、法律事務所は、「示談交渉」についての経験が豊富な弁護士、事務所を選ぶべきでしょう。
弁護士と言えば、「裁判・訴訟」ではないかと思われる方も多いかもしれませんが、交通事故案件について、解決の仕方として一番多いのは、実は「示談交渉」です。

「示談交渉」で話がまとまれば、「示談＝合意」によって解決したことになり、「裁判・訴訟」をするより圧倒的に早く事件は解決することになります。むしろ、「裁判・訴訟」にすることなく、早期に示談による解決に持ち込めるかどうか、という視点は重要で、そうすると、交通事故の「示談交渉」の経験が豊富な弁護士であるかという視点が重要です。

そもそも、「裁判・訴訟」ではなく、「示談交渉」で適切に解決するためには様々な準備が必要となり、「裁判・訴訟」になればこういった点が問題となるなど明確な見通し・見解を持って、「示談交渉」でのメリットが大きい場合には、積極的に、「示談交渉」にて解決すべきと言えます。

過去の解決事例をチェックしましょう

「示談交渉」についての経験と並んで重要なのが、どういった事例でどういった解決をしたか、ということです。
事例の特殊性を踏まえて、交通事故案件に関する知識やノウハウなどを駆使して、依頼者である被害者の方のためにどのような動きをしているか、など「解決事例」は注目すべきポイントが多くあります。

特に、ホームページ上に「解決事例」として掲載されているものは、その弁護士にとって、実際に扱った案件であり、かつ、うまく解決できたという事例のはずです。

被害に遭われた中で大変な作業であるかとは思いますが、ご自身の案件の解決のためであり、自分に似たような事案の解決の実績がどこまであるか、どのような動き方をしているか、自身のためにも動いてくれそうかなどを、被害者の方自身もしっかり見極めていくべきといえます。

医学的知識を兼ね備えている

人身事故の場合には、人が怪我した事故であるということで、事件解決のために「医学的知識」が必須となります。どういった機序で怪我をしたのか、当該事故から発生したものと明確に主張できるか（受傷機転と言います。）、怪我の治療はどのように進んでいくか、予後はどうなりそうか、後遺症が残存した場合にはどういった点に重きを置いて後遺障害等級認定申請を行うべきか、など、「医学的知識」が必要な場面は交通事故の場合には多々あります。

そうすると、「医学的知識」を備えている弁護士かという視点も重要になります。例えば、認定される後遺障害等級に応じて賠償額の基準が大きく変わるもので、被害者請求や場合によっては異議申立てなどで適切な後遺障害等級が認定されるように、「医学的知識」を備えた弁護士かどうか、という点も重要と言えます。

なお、後遺障害等級認定については、以下の記事でも詳しく解説しておりますので、ぜひご参照ください。

専門の部署があり、交通事故に特化した弁護士がいる

そして、過去の「解決事例」に関連するところですが、交通事故について専門の部署があり、交通事故に特化した弁護士がいるかどうかもポイントとなります。

「後遺障害等級」などについての知識をお持ちの被害者の方もいるかもしれませんが、交通事故に関する案件は身近なようで極めて専門的な分野です。そうすると、こうした専門分野について専門的に扱っている弁護士がいるかどうかは、弁護士選びにおいて大きなポイントとなります。

例えば、ホームページに「交通事故専門」だとか「専門チーム」などと表記してあれば、要注目です。
法律事務所は交通事故だけでなく、離婚や相続、企業案件など数多くの案件を扱う中で、その事務所に交通事故案件の専門部署や専門弁護士があれば、交通事故に特化した弁護士がいるということがいえるでしょう。

交通事故を専門的に扱っている弁護士がいるということは、被害者の方の交通事故案件を解決するにあたってきっと有利に働くことでしょう。そうすると、交通事故に特化した弁護士がいるかという視点も重要になります。

後悔しない弁護士・法律事務所の選び方

こうして交通事故に強い弁護士・法律事務所を見つけていただいたとして、その弁護士に依頼すれば万事安全でしょうか。
実際には、交通事故に強い弁護士・法律事務所であればどんな事務所でも構わないというわけではありません。依頼して後悔した、などといった声も耳に入ることもあります。

そこで、上記のほかにも後悔しない弁護士・法律事務所の選び方として見ていくべきポイントがありますので、以下解説していきます。

説明がわかりやすく理解しやすい

まず、説明が分かりやすく理解しやすい弁護士かどうかを見極めましょう。
被害者の方が弁護士に交通事故事件の解決を依頼するといっても、被害者の方は自身の事故の解決のためなのですから、弁護士に任せきりにするべきではなく、そのためにたびたび弁護士とコミュニケーションをとることになると思います。

その中で、事件についての説明を弁護士から受けることになるでしょう。このとき、弁護士からの説明がわかりやすく理解しやすいかが重要であることは言うまでもないでしょう。

難しいことを簡単に説明することは、問題や内容の本質を理解していないと難しいことです。弁護士から受けた説明をあなたが分かりやすいと感じた場合、その弁護士は問題や内容の本質を理解してかみ砕いて説明できる能力が高いといえるので、その弁護士に選ぶべきといえます。

弁護士以外の受付・事務局の対応が優れている

被害者の方が弁護士に交通事故案件の解決を依頼すると、実は、弁護士だけでなく弁護士以外の事務所職員、つまり受付・事務局ともコミュニケーションをとることが多いでしょう。

法律事務所において、弁護士と受付・事務局は事件を解決へ導く車の両輪です。そうすると、弁護士だけでなく弁護士事務所の受付・事務局の対応が優れていることも重要です。

例えば、スムーズに話が取れる、適切な回答が得られる、弁護士への要件もきちんと伝わっている、事件の内容にも一定程度は精通している、などといった受付・事務局がいる事務所は、きっと弁護士だけでなく、弁護士と受付・事務局が事件を適切に解決に導いてくれるでしょう。

費用倒れについて説明してくれるかどうかもポイント

交通事故の被害に遭われた場合、金銭的な解決が基本となってしまうため、慰謝料など加害者側から適正な賠償を受けたい、と思うことは普通です。

そうすると、弁護士に依頼して、かえって費用倒れになってしまっては避けるべきです。そこで、弁護士に支払う費用とあなたが得られるであろう利益を踏まえて、費用倒れについて説明をしてくれる弁護士であるかが弁護士を選ぶ上で重要になります。

報酬金等の料金体系が明確

被害者の方が弁護士に依頼すれば、依頼を受ける際の着手金、事件終了時の成功報酬といった費用を支払うのが基本です（弁護士費用特約の場合は別です）。

そうすると、被害者の方が弁護士に依頼したときに、どれくらいの弁護士費用がかかりそうか、料金体系が明確かどうか、という点は重要と言えます。当然、弁護士に依頼するとしても、弁護士費用は高額なのではないかと心配になると思いますので、弁護士費用としていくら支払えばよいのかを明確に示してくれる弁護士であるかが弁護士を選ぶ上で重要になります。

弁護士の変更はできる？

被害者の方が弁護士に依頼した場合、被害者の方と弁護士との関係は、法的には「委任契約」「委任関係」にあたります。
「委任」の文字からお分かりになるとおり、お互いの信頼を基礎とした関係となります。
そのため、被害者の方も、依頼したものの、どうしても合わない、信頼関係を構築できないという事態も残念ながら起こってしまうこともあるかもしれません。

そんなときは、被害者の方自身のために弁護士の変更を検討しましょう。直接弁護士に伝えにくい場合には、受付・事務局など事務所職員に伝えるのも一つです。また、弁護士費用特約をご利用なら加入している保険会社に電話して弁護士の変更を検討している旨を伝えてみましょう。

遠慮することはありません。あなたはあなたの交通事故事件を最も適切に解決へ導いてくれる弁護士を探して依頼すればよいのです。

後悔しないためにも、交通事故に強い弁護士を選びましょう

本記事では、交通事故の被害に遭われた被害者の方が、どのような視点で、どのような基準で、どのような弁護士を選べばよいのかを解説してきました。

まとめると、①交通事故案件について豊富な実績があり（解決事例も多数、医学的知識もある、交通事故案件を専門的に扱っている弁護士がいる）、②受付・事務局なども含めて交通事故についての理解が深く（弁護士の説明が分かりやすい、受付・事務局の対応が優れている）、③弁護士費用も明確で費用倒れのリスクも説明してくれている（費用体系が明確な上で、費用倒れの心配があるかないかなど）、といった要素が挙げられると思います。
改めてこういった目線で、交通事故に強い、後悔しない弁護士を選んでいただければと思います。

この点、弁護士法人ALG＆Associates神戸法律事務所には、交通事故の示談交渉の経験が豊富で、医学的知識を兼ね備えており、交通事故に特化した弁護士が所属しています（中でも、所長弁護士は、弊所の交通事故事業部で交通事故案件を専門的に扱っておりました。）。

もちろん受付・事務局の対応も優れていますし、明確な料金体系をもとに費用倒れの可能性についても弁護士自ら丁寧にご説明させていただきます。複数名の弁護士を擁する事務所なので、万が一のことがあったとしても弁護士の変更にも柔軟に対応しておりますので、お気軽にご相談ください。