監修弁護士 小林 優介弁護士法人ALG&Associates 神戸法律事務所 所長 弁護士
目次
はじめに
運送業・物流業は、物流網が整備されてきた現在において、日本の各産業をつなげる重要な役割を果たしています。
近年は、インターネット通販サイトなどの普及・発展もめざましく、それとともに物流量は増加傾向にあり、また運送・物流の仕組みは、荷主・元請業者・下請業者と多層構造化するなど高度化・複雑化しています。
このように複雑化した運送業、物流業においては、荷主・元請業者・下請業者間のトラブルや、運送中・保管中の事故、近年問題となっている従業員の労務管理など問題が山積しています。
このような問題を看過してしまい、適切な対応を取れないと、近時は深刻な人手不足問題も指摘されている運送業・物流業において、さらなる人手不足に陥り、また、取引上の信用・信頼を失うなどして、経営が成り立たなくなるといった取り返しのつかない事態に陥ってしまいます。
当支部では、このような法的なトラブル・問題についてなるべく迅速に取り組み、運送業・物流業を担う方には、世の中のあらゆる荷物を届け、人々の生活にとってなくてはならない存在として、安定した運送業・物流業の経営をしていただきたいと考えております。
そこで、運送業・物流業における弁護士の役割・意義について、運送分野や物流分野に精通した当支部が、以下、詳しく述べていきます。
荷主・元請業者・下請業者間でのトラブル
運送業・物流業における代表的なトラブルは、荷主・元請業者・下請業者間でのトラブルです。
より早く商品の配送を求める消費者の要望や物流過程の複雑化などにより、貨物の破損・汚損などによる弁償の求めや運賃の値引きや支払いの遅滞といったトラブルが年々増加しています。
かかる問題を生じさせている背景としては、要件を満たせば、新規参入が容易であるため、個人事業をはじめ、小規模な事業者の割合も高く、荷主や元請との条件交渉が困難であるという実情があるように思います。
かかる問題がなるべく発生しないように注意をしておくべきことは、契約・取引の内容をどのように明確化していくかです。
運送や物流業などは継続的取引が想定されており、かかる継続的取引における取決め事項には、取引期間中に大きな変動がないものから、運送の都度変化するものまでさまざまです。たとえば契約の当事者(元請、下請など)は、契約期間中基本的に変わらないと思いますが、積込や荷卸しの日時・場所など日々変化するものと思います。このような変化の頻度、程度に応じて、書面を種類に分けて作り、ルールを明確化しておくことをおすすめします。
このような書面の取り交わしにおいては、運送分野や物流分野に精通した弁護士であれば、信頼関係を壊すことなく、荷主、元請業者、下請業者間での取り交わしについても柔軟にスムーズに行うことができるものと思いますし、万が一トラブルになった場合にも対応を任せることができます。そのため、荷主・元請業者・下請業者間でのトラブルを回避すべく運送業や物流業にに精通した弁護士に一早く相談して適切な対応をしていくべきでしょう。
従業員間のトラブル、労務問題、ハラスメント問題
運送業、物流業で起こるのは、何も荷主・元請業者・下請業者間の方との間のトラブルだけではありません。
例えば、陸運では、物を運ぶ手段としてトラック運送が主流となっておりますが、比較的近距離で荷物を運搬する近距離運送もあれば、何百キロあるいは千キロ近く運送するような長距離運送もあり、労働時間が長期化してしまうなど労働環境が通常の業種と異なることも多いです。
このように、運送・物流の現場では、消費者がより早い商品の配送を望み、それに応える形で運送業や物流業に従事する方が長時間労働を強いられている、残業代等が適切に支払われていない、セクハラやパワハラが職場で起こっている、などの運送業や物流業に従事する従業員間のトラブル、労務問題、ハラスメント問題が山積しています。
かかる問題を放置しておくと、問題従業員の存在、従業員の労働意欲の低下、退職、以下に述べる労災、交通事故の発生など経営にあたって看過できない事態になることがあり、従業員が働きやすい環境を作るためにも、早期に問題を根本から解決していく必要があります。人手不足が言われて久しい運送業・物流業において、従業員が働きやすい環境を作ることで、安定した経営等につなげていく必要があります。
早期に問題を根本から解決するためには、いかなる対策を取るべきか、運送分野や物流分野に精通していて、かつ、労働問題にも精通している弁護士に相談すべきでしょう。
労働災害・事故等のトラブル
3でも触れましたが、例えば、陸運では、物を運ぶ手段としてトラック運送が主流となっており、中には、何百キロあるいは千キロ近く運送するような長距離運送もあり、労働時間が長期化してしまうなど労働環境が通常の業種と異なることも多いです。
このような運送業・物流業においては、ドライバーの腰痛、連続した運送による過重労働、交通事故など、労働災害(労災)・事故が発生するリスクが潜んでいる場合が少なくありません。そして、労災事故が発生し、会社側に過失(落ち度)が認められる場合には、民事責任(損害賠償請求)、刑事責任(業務上過失致死傷等)、行政責任(是正勧告や作業停止命令)を問われるおそれがあります。
このような事態を避けるべく、労働災害・事故がなるべく発生しないようにすべきところ、これらの予防については、適正な労働環境を整備し、安全管理を徹底することが必要です。安全管理にあたっては、どのような問題が起こりそうかの洗い出しやそれに対する解決策の検討を行うべきであり、かかる点について運送業や物流業に精通した弁護士に相談しながら進めるべきでしょう。
また、仮に、労働災害・事故が起こってしまった場合、労働災害・事故では、事故の重大さの程度や、従業員の過失の程度が様々であり、それぞれのケースに応じて、適切な対応をすることが必要です。このような場合に、労働基準監督署による調査への対応や事故を起こした従業員への対応を誤ると、問題が大きくなってしまう可能性があります。
そのため、労働災害・事故が起こってしまった場合には、どのような点が問題になりそうか、今後どのような対応をしていくべきか、などを運送業や物流業に精通した弁護士に相談しながら進めるべきでしょう。
運送分野・物流分野だけでなく、労務や紛争案件にも精通した当支部の弁護士へいち早く相談を!
これまで見てきたとおり、運送業・物流業では、荷主・元請業者・下請業者間でのトラブル、従業員間のトラブルや労務問題、労働災害・事故等のトラブル、法的紛争等さまざまなトラブルが起こりうるのであり、運送分野や物流分野だけでなく、労務分野や紛争案件にも精通した弁護士に相談すべきものといえます。
当支部では、運送分野や物流分野にも精通しており、また、労務分野にも力を入れて取り組み、さらに紛争案件も数多く経験しております。
運送業・物流業の経営等に関するご相談については当支部の弁護士へすぐにご相談ください。
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保有資格弁護士(兵庫県弁護士会所属・登録番号:51009)
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