神戸の弁護士による刑事事件の相談

迷惑防止条例違反とは?該当する行為や罰則、逮捕された場合について

迷惑防止条例という条例違反で逮捕されるケースもあります。
ただ、迷惑防止条例といっても、成立する犯罪はケースバイケースですから、迷惑防止条例の被疑者になってしまったときには、成立する犯罪を踏まえつつ、適切な対応をしなければなりません。

そこで、刑事事件、刑事弁護に精通した弁護士法人ALG&Assosiatesの神戸法律事務所の弁護士が、迷惑防止条例とは何か、どのような罰則があるかなどについて解説しますので、ぜひご参照ください。

迷惑防止条例とは

まず、迷惑防止条例とは何かを見ていきましょう。

迷惑防止条例とは、条例(地方公共団体が自治権に基づいて制定する自主法)のうち、住民や滞在者の生活の平穏を守るために迷惑防止条例や公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例といった名称で制定されているものの総称です。

一般的に、粗暴行為、ぐれん隊行為、卑わいな行為、不当な金品の要求行為、ダフ屋行為、押売り行為、不当な客引き行為、ピンクビラ等の配布行為などを禁止しており、違反した場合には罰則が定められています。

違反となる行為と罰則

それでは、迷惑防止条例となる行為やその場合の罰則はどのようなものがあるでしょうか。

兵庫県の迷惑防止条例の目的は、「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等を防止し、もって県民生活の安全と秩序を維持すること」にあります。
そのため、迷惑防止条例では様々な行為が禁止されているので、禁止されている行為についてご説明いたします。

盗撮

まず、「迷惑防止条例違反」の対象となる行為としては、「盗撮」が挙げられます。
「盗撮」行為とは、人が通常衣服で隠されている身体又は下着をカメラ等で撮影する行為、撮影する目的でカメラ等を向ける行為、撮影する目的でカメラ等を設置する行為のことをいいます。

また、浴場等人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人をカメラ等で撮影する行為、撮影する目的でカメラ等を向ける行為、撮影する目的でカメラ等を設置する行為も含まれます。

痴漢

次に、迷惑防止条例の対象となる行為としては、「痴漢」が挙げられます。
「痴漢」行為とは、例えば、衣服や下着の上から、もしくは直接身体に触れる行為、自分の身体や股間部分を執拗に押し付けたりする行為のことをいいます。

「痴漢」については、以下の記事でも解説しておりますので、ご参照ください。

痴漢は何罪に該当する?

迷惑防止条例で逮捕されたらどうなる?

迷惑防止条例により逮捕されてしまった場合には、どうなるのでしょうか。
この点、迷惑防止条例により逮捕されてしまった場合、48時間以内に検察へ事件が送致されます。
送致を受けた検察は24時間以内に対象者を勾留するかどうかを決定します。

勾留されなければそのまま釈放となりますが、勾留された場合には、最大20日間捜査を行い、起訴するかどうかを決定することになります。
以下、詳しく見ていきましょう。

逮捕後の流れと手続き

迷惑防止条例により逮捕された後の流れとしては、「盗撮」や「痴漢」などの行為の目撃者がすぐに通報するなどして現行犯逮捕される場合もあれば、行為時には逮捕されなかったものの、防犯カメラの捜査などで犯人が判明し、逮捕状が取られて通常逮捕される場合もあります。

逮捕されると引き続き勾留されることが多いですが、迷惑防止条例の場合、行為の内容がそこまで悪質ではなく、逃亡や証拠隠滅のおそれもないと判断されれば、勾留されずに在宅での取調べとなることもあります。

迷惑防止条例違反で不起訴となる可能性

迷惑防止条例で逮捕されたとしても、不起訴となる可能性はあります。
例えば、「痴漢」事件の場合、客観的な証拠が乏しいため、証拠が被害者の供述のみということも少なくありませんから、このような場合、被害者の供述がとても重視されることになります。

他方で、かかる被害者の供述があったとしても、やってもいない行為について罪を認めないようにしましょう。一度罪を認めてしまったら、後々取り返しのつかないことになりかねないからです。

何よりも、早期の段階で弁護士に依頼するようにしましょう。早期段階であれば、迷惑防止条例をしていない証拠を見つけ出すことができるかもしれません。
また、後述のとおり、被害者との示談交渉についても託すことができます。

被害者との示談交渉の重要性

迷惑防止条例で逮捕され、自身に身に覚えがある場合には、被害者との「示談」の交渉が重要と言えます。
「示談」ということは、被害者側と被害に関しての弁償等を含んだ合意であり、被害者側と合意できたということを指します。

もちろん、合意・和解の内容は個々のケースで異なるものの、通常は、①加害者から被害者への謝罪の意を示す、②加害者から被害者へ示談金を支払う、ことで成立することになるでしょう。
上記のとおり、加害者と被害者という関係性上、加害者が被害者に対して直接連絡を取って「示談」しようとしても、被害者の心情的に難しいケースが多いため、弁護士に依頼して代わりに「示談」してもらうべきでしょう。

示談金についての相場は、ケースによって変わるため、弁護士に相談するようにしましょう。

弁護士ができることと依頼のタイミング

それでは、迷惑防止条例で弁護士ができることは何か、またどのタイミングで依頼をしたらよいのでしょうか。

まず、迷惑防止条例で逮捕された場合、逮捕されて身柄拘束されているかどうかも影響しますが、被害者との示談交渉は極めて重要と言えます。
そこで、迷惑防止条例で逮捕されてしまったとしても、被害者に対し深く反省している姿勢を示して、被害者との間で「示談」を成立させることができれば、不起訴処分(起訴されない)になる、または起訴されても減刑される可能性が高くなります。

ただし、逮捕されて身柄拘束された場合には、被害者に直接反省の姿勢を示すことはできません。また、逮捕されていなくても、通常、被害者は加害者に会いたいとは思わないため、直接被害者に対して反省の示すことは難しいといえます。

この点、加害者の方が、弁護士に依頼すれば、弁護士であれば被害者に直接会える可能性が高いため、弁護士を通じて直筆の謝罪文などを渡し、反省の姿勢を示して示談交渉を進めていくことが有用であるといえます。

そのため、迷惑防止条例で逮捕された場合には、すぐに刑事事件に精通した弁護士に依頼するようにしましょう。

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迷惑防止条例違反の裁判例

それでは、迷惑防止条例の裁判例について紹介させていただきます。
福岡地方裁判所平成30年9月7日判決をご紹介します。

この事件は、迷惑防止条例として「盗撮」行為が疑われた事案で、とある店舗内にいたワンピースを着た女性の下に動画撮影機能を起動した二つ折りの携帯電話機を差し入れたかどうかが争われたものです。

この事件では、核心的な客観的な証拠がなく(撮影した動画は内容が判然としないものであり、下着などが写っているわけではありませんでした。)、被害者の証言と被告人の自白のみが証拠となっていました。

裁判所は、被害者の供述は具体的で、供述態度も紳士であり、内容も客観的な証拠とも矛盾していないことから信用できるとした上で、被害者は携帯電話で下着を撮影されているところまでは見ていないので、被害者の供述だけでは盗撮の事実は認定できないとしました。

また、盗撮したという被告人(=犯罪を犯したと疑われた人)の自白については不自然なところが多く信用できないとしました。
そのため結局、ワンピースを着た女性の下に携帯電話を差し入れたということの証拠がないため、被告人は、無罪となりました。

迷惑防止条例違反で逮捕された場合はすぐに弁護士へご相談ください

以上、迷惑防止条例について見てきましたが、「痴漢」や「盗撮」行為に及ぶ方もいますが、他方で、「痴漢」や「盗撮」などの行為に及んでおらず、えん罪を疑われることもあり、迷惑防止条例は争われやすい事案といえます。

たしかに、迷惑防止条例での逮捕では、比較的刑罰が軽い場合があることから、やっていないのにやったと事実を認めてしまいがちです。しかし、前科がつく可能性があることから本当にやっていないのであれば事実を争う必要があり、その際、弁護士に相談することで取調べへの対応など様々な助言を得ることができます。

また、仮に、「痴漢」や「盗撮」などの迷惑防止条例をしてしまったとしても、弁護士が介在して、被害者の方との示談交渉等被疑者に有利な事情を集めることによって不起訴処分を獲得できる可能性が高まることは説明したとおりです。

このように、弁護士に相談することで、弁護士から今後の流れや今後の対応などの説明やアドバイスを受けることができ、今後の対応や見通しなども少しは見えてくるかもしれません。

また、ケースによっては、早期に対応をしていくことで逮捕などの身体拘束を回避することや起訴を免れることができる可能性もあるので、早期の対応をすることがとても重要となります。
この点、弁護士法人ALGの神戸法律事務所の弁護士は、これまで数多くの刑事事件、刑事弁護を扱ってきた実績がありますので、ぜひ一度ご相談ください。

この記事の監修

弁護士法人ALG&Associates 神戸法律事務所 所長 弁護士 小林 優介
弁護士法人ALG&Associates 神戸法律事務所 所長弁護士 小林 優介
兵庫県弁護士会所属。弁護士法人ALGでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。
兵庫県弁護士会所属。弁護士法人ALGでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。

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