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痴漢は何罪に該当する?逮捕された場合の刑罰や流れなど

痴漢という言葉、ニュースを聞いたことのある方は多いかと思います。
特に、電車、地下鉄等、多くの方が利用する場所で発生することが多く、電車通勤をされている方々にとっては、「痴漢被害に遭ってしまうかもしれない」という恐怖に加え、「痴漢の疑いを掛けられるのではないか」という恐怖もあるかもしれません。

このように、痴漢という犯罪行為は一番身近な犯罪の1つであり他人事ではありません。
ただ、一言で痴漢といっても、成立する犯罪はケースバイケースですから、痴漢の被疑者になってしまったときには、成立する犯罪を踏まえつつ、適切な対応をしなければなりません。
そこで、刑事事件、刑事弁護に精通した弁護士法人ALG&Assosiatesの神戸法律事務所の弁護士が、痴漢について解説しますので、ぜひご参照ください。

痴漢は何罪になるのか

まず、痴漢という犯罪はありません。
また、痴漢について明確に定義を定めた法令もないようです。
一般的には、痴漢とは、「女性にみだらないたずらをしかける男」などと定義されているようですが、痴漢の加害者が男性のみ・痴漢の被害者が女性のみ、というわけではありません。

ただ、痴漢といっても、行為態様によっては異なる犯罪が成立する可能性があります。
そこで、どのような行為態様であれば、どのような犯罪が成立するのか、成立した犯罪の刑罰についてご説明いたします。

迷惑防止条例とは

まず、痴漢によって成立しうる犯罪としては、迷惑防止条例違反の罪です。
迷惑防止条例は、各都道府県の定める条例です。

痴漢の中でも、被害者への侵害の程度が比較的軽い態様のものに関し、迷惑防止条例違反が成立します。

例えば、兵庫県の迷惑防止条例では、痴漢は、「人に対する、不安を覚えさせるような卑猥な言動」をした場合に成立する犯罪と規定しています(3条の2)。
以下に述べる「不同意わいせつ罪」とは異なり、迷惑防止条例における痴漢とは、暴行又は強迫を用いずにわいせつな行為をした(例えば、公共の場所で、他人の身体に触れた場合など)場合に、迷惑防止条例違反となるものと思われます。

不同意わいせつ罪とは

次に、痴漢によって成立しうる犯罪としては、不同意わいせつ罪の罪です。
不同意わいせつ罪については、刑法176条において、

「次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、6月以上10年以下の拘禁刑に処する。」(1項)と規定されています。

「次に掲げる行為」としては、例えば、

  • 「暴行若しくは脅迫を用いること、又はそれらを受けたこと。」(1号)
  • 「同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。」(5号)

が挙げられています。
そのため、痴漢であってもこれらの行為態様によってはかかる不同意わいせつ罪に抵触する可能性があります。

痴漢で起訴された場合の刑罰

痴漢で起訴された場合には、どのような刑罰が下される可能性があるのか見ていきましょう。
痴漢で起訴され、有罪の判決が下された場合、懲役刑あるいは罰金刑が科されることとなります。

ただし、刑罰の内容は、迷惑防止条例や不同意わいせつ罪かによって異なります。

迷惑防止条例の刑罰

兵庫県迷惑防止条例では、15条が罰則について規定しています。
痴漢によって、上記した兵庫県迷惑防止条例の3条の2違反と認められる場合には、「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」(1項)とされています。
また、「常習として」3条の2違反して痴漢をした者については1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処するとされています。(2項)

不同意わいせつ罪の刑罰

不同意わいせつ罪の刑罰は、「6月以上10年以下の拘禁刑」とされています(刑法176条)。
なお、拘禁刑とは、2025年6月1日から施行される刑罰なのですが、それまでは、条文上の拘禁刑は懲役として扱われますが、施行後は、懲役刑と禁錮刑はなくなり、拘禁刑に一本化されます。

ここで注意していただきたいのは、罰金刑がないため、身柄を拘束される刑罰しかないということです。 

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痴漢で逮捕された場合に知っておくべきポイント

それでは、痴漢で逮捕されてしまった場合には、どう対応すべきなのかを見ていきましょう。

不起訴や罰金刑でも前科はつくのか

痴漢で逮捕された場合に、まず気になるのは、前科がつくかどうかかと思います。
この点、痴漢の疑いで逮捕された場合であっても、不起訴となれば、前科はつきません。

そのため、前科がつくのを防ぐためには、不起訴処分を獲得することが非常に重要となってきます。
しかし、仮に、罰金刑となってしまうと、罰金刑も刑罰の一種ですから、当然ながら前科がつきます。

初犯でも懲役などの刑罰を受けることはあるのか

次に、痴漢の初犯の場合に、懲役(上記したとおり、のちに拘禁刑となります)などの刑罰を受けることがあるのかどうかを気にされる方も多いかと思います。
仮にですが、痴漢で逮捕される以前に前科がなく、今回が初めて逮捕されたという場合でも、痴漢の行為態様が悪質であったり、1件ではなく他にも何件も痴漢の疑いがかかっている場合など常習性がうかがえる場合などは実刑の可能性があるため、注意が必要です。

どれだけ刑罰が重くなるかについては、情状に関わる部分もあるのですが、為態様の悪質性の他にも、被害者の被害感情や自身の反省の有無や程度など多岐にわたる事情が総合的に考慮されます。 そのため、示談等で被害者からの宥恕が認められれば、逮捕された方にとって有利な事情として考えられるため、示談の重要性もご理解いただけるものと思います。

執行猶予がつかずに実刑になることはあるのか

また、執行猶予がつかずに実刑になることがあるのかを気にされる方も少なくないと思います。
この点、執行猶予とは、刑を言い渡されて、裁判が確定した後、一定の期間刑の執行が猶予されて、執行猶予が取り消されることなく、一定の期間を経過したときは刑の言渡しの効力が失われるものです。

執行猶予は3年以下の懲役、禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けたとき、前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者等につけることができます。
執行猶予がつくかどうかは、前科の有無や犯行態様の悪質性など様々な事情を考慮して判断されることになるため、痴漢で逮捕された場合にも、執行猶予がつかずに実刑になる可能性もあるものといえます。

逮捕後に被害者と示談をする必要性はあるのか

 痴漢で逮捕された場合、被害者と示談する必要性があるのか、という点については、基本的に示談すべきでしょう。
まず、示談とは、民事上発生する損害賠償等について当事者間で合意をして紛争を解決することですので、痴漢行為によって被害を受けた被害者の方の慰謝料等を支払い、痴漢行為についての紛争を一旦解決することを指します。

一般的に、示談は、加害者の反省の意思、被害回復に努めていることを表わしたり、被害者の宥恕の根拠となったりするもので、刑事事件においても、処罰の是非について非常に重要となるものです。
かかる意味において、示談があったことは、加害者側に有利な事情として、刑事事件において主張することができますので、示談する必要性は高いといえるでしょう。

逮捕されたら弁護士に相談・依頼すべきか

上記したとおり、痴漢で逮捕された場合でも、実刑となるおそれや前科がつく恐れがあります。
そのため、被疑者・加害者にとっては、痴漢行為で逮捕されたとしても、不起訴処分をとることが重要になってきます。
不起訴処分をとるためには、被害者との示談が重要です。

しかし、加害者本人から被害者の方へ接触をしようとしても、被害者の方からの反発が予想され、被害者の方との示談交渉は難しいといえます。
そこで、弁護士が加害者側の代理人として、間に入ることで、このような弊害を避けることができ、被害者の方も示談交渉に応じやすくなるといえます。
そのため、弁護士に相談して依頼する意義は非常に大きいといえます。

痴漢で逮捕された後の流れ・手続き

痴漢で逮捕された場合には、その後以下の流れとなると思われますので、ご参照ください。

  1. 逮捕
  2. 逮捕後、48時間以内に検察へ送致
  3. 送致後、検察官が、24時間以内に勾留請求をするか、釈放をするか判断する
  4. 勾留請求されて、勾留が認められた場合、10日間(延長あり)の身柄拘束
  5. 検察官は、起訴するか釈放するかを判断

かかる流れの中で、いつ弁護士に相談すべきかという点ですが、弁護士に相談するタイミングは、示談交渉や、被疑者に有利な証拠収集に早いうちから取りかかることができるため、早ければ早いほどよく、逮捕後速やかに弁護士に相談等すべきものといえます。

痴漢で逮捕された場合は、出来るだけすぐに弁護士にご相談ください

以上、痴漢について見てきましたが、痴漢行為に及ぶ方もいますが、他方で、痴漢行為に及んでおらず、えん罪を疑われることもあり、痴漢は本当に痴漢行為に及んだかが争われやすい事案といえます。

たしかに、痴漢について、迷惑防止条例違反などでの逮捕では、比較的刑罰が軽い場合があることから、やっていないのにやったと事実を認めてしまいがちです。
しかし、上記のように前科がつく可能性があることから本当にやっていないのであれば事実を争う必要があり、その際、弁護士に相談することで取調べへの対応など様々な助言を得ることができます。
また、仮に、痴漢をしてしまったとしても、弁護士が介在して、被害者の方との示談交渉等被疑者に有利な事情を集めることによって不起訴処分を獲得できる可能性が高まることは説明したとおりです。

このように、弁護士に相談することで、弁護士から今後の流れや今後の対応などの説明やアドバイスを受けることができ、今後の対応や見通しなども少しは見えてくるかもしれません。
また、ケースによっては、早期に対応をしていくことで逮捕などの身体拘束を回避することや起訴を免れることができる可能性もあるので、早期の対応をすることがとても重要となります。

この点、弁護士法人ALGの神戸法律事務所の弁護士は、これまで数多くの刑事事件、刑事弁護を扱ってきた実績がありますので、ぜひ一度ご相談ください。

この記事の監修

弁護士法人ALG&Associates 神戸法律事務所 所長 弁護士 小林 優介
弁護士法人ALG&Associates 神戸法律事務所 所長弁護士 小林 優介
兵庫県弁護士会所属。弁護士法人ALGでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。
兵庫県弁護士会所属。弁護士法人ALGでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。

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