交通事故によるむちうち治療に整形外科が必須の理由

交通事故

交通事故によるむちうち治療に整形外科が必須の理由

神戸法律事務所 所長 弁護士 小林 優介

監修弁護士 小林 優介弁護士法人ALG&Associates 神戸法律事務所 所長 弁護士

むちうちは、交通事故による怪我の中で非常によく見られる怪我の種類といえます(厳密にはむちうちというのは追突等による受傷機転を示します)。手足のしびれや頭痛などさまざまな症状を引き起こすため、日常生活に支障をきたすことも多いです。きちんと治療を受け、相手方保険会社に対して適切な賠償金の支払いを請求する必要があります。
しかし、むちうちとなった場合、その通院方法には注意点があります。特に、通院先や通院時期については相手方保険会社とトラブルになりやすいため、正しい手順で進めることが重要です。
そこで、本記事では、交通事故案件を多数解決し、交通事故案件に精通した弁護士法人ALGの神戸法律事務所の弁護士が、むちうちにおける通院のポイントについて解説していきます。事故に遭ってむちうちとなってしまった方は、ぜひご覧ください。
なお、むちうちについては、以下の記事でも解説しておりますので、併せてご参照ください。

交通事故でむちうち(むち打ち)になってしまったら

交通事故後は、できるだけ早く整形外科を受診しましょう

交通事故に遭った後、少しでも身体に違和感が生じた場合、必ず病院を受診しましょう。
むちうちは、事故直後は無症状でも数日経ってから痛みが現れることもあるため、痛み等に気づいたときはすぐに病院を受診してください。
また、診察では、事故の状況やぶつけた部位を詳しく説明し、必要な検査をすべて受けておきましょう。
なお、事故から時間が経ってから受診すると、怪我と事故の因果関係が認められず、相手方保険会社から賠償を受けられなくなるおそれがあるため、早めに受診することが重要です。

むちうち治療で整形外科に行くべき理由

むちうちとなった場合、整形外科を受診するのが基本です。整骨院に通いたい方もいるでしょうが、まずは整形外科に行き、医師の診察のもとでしっかり通院を続ける必要があります。
整形外科に通うべき理由について、次項からみていきましょう。

交通事故の損害賠償を請求するため

相手方保険会社に損害賠償金を請求するには、事故と怪我の因果関係を認めてもらう必要があります。そのためには、整形外科で怪我の状態等を診察・診断する資格がある医師の診察を受け、傷病名などが記載された診断書をもらわなければなりません

一方、整骨院では、施術を行うのは“柔道整復師”であり、“医師”ではないため、治療などの医療行為を受けられず、診断書も作成されません。
そのため、事故後は早めに整形外科へ行き、しっかりと診察を受けましょう。

また、診断書がないと、警察に人身事故として届け出ることができません。物損事故のままだと「怪我はなかった」と判断され、十分な損害賠償金が支払われないおそれもあるため注意が必要です。

後遺障害等級認定を申請するため

治療を続けても怪我が完治しない場合、後遺障害等級認定の申請を行うことができます。
後遺障害等級は、残った怪我(後遺症)の状態によって1~14級のいずれかが認定される制度です。また、等級に応じた「後遺障害慰謝料」などが支払われるため、受け取れる賠償金が大幅に増額します。

ただし、後遺障害等級認定の申請をするには、必要な検査をすべて受けたうえで、後遺障害診断書を医師に作成してもらわなければなりません。そもそも医学的な検査や診断書の作成は“医師”しかできないため、必ず整形外科を受診するようにしましょう。
また、後遺障害等級の認定にあたっては、事故後の通院頻度治療状況も重視されるため、継続的に通院することが重要です。

対応を怠ると、自身の体に症状が残っているにもかかわらず後遺障害等級“非該当”になったり、低い等級しか認定されなかったりするため注意しましょう。
なお、「後遺障害等級の認定の申請」については、以下の記事でも詳しく解説しておりますので、ぜひご参照ください。

後遺障害等級認定の申請方法

整形外科と整骨院(接骨院)を併用する際に起きやすいトラブル

むちうちでは整形外科に通うのが基本ですが、整骨院や接骨院の併用も可能です。ただし、整骨院に通う場合、あらかじめ保険会社に連絡し、医師の許可を得ることが重要です。
これを怠ると、後の損害賠償請求でトラブルになりかねません。どんなトラブルが起こり得るのか、以下でみていきましょう。

保険会社に整骨院(接骨院)への通院を連絡しなかった場合

事故による治療費は、相手方保険会社が病院へ直接支払いがなされる場合が多いです(これを、一括対応といいます。しかし、一括対応は保険会社の義務ではなく、サービスの一環としてなされています。)。
しかし、相手方保険会社は、整骨院(接骨院)への通院を認めず、整骨院(接骨院)の治療費については支払いを拒否してくることがあります。その理由は、整骨院の施術は、整形外科で行われる医師による医療行為と異なり、マッサージなどがメインであり、治療行為ではないと考えられているからです。

また、整形外科での治療を怠り、整骨院にだけ通い続けると、治療の必要性を疑われ、治療費の支払いを早期に打ち切られるおそれもあります
そのため、整骨院へ通う前には必ず相手方保険会社に連絡しておきましょう

整形外科の医師の許可なしに整骨院(接骨院)に通った場合

整骨院(接骨院)での施術は“治療”ではないため、通院の必要性について保険会社と争いになることがあります。
しかし、整形外科の医師の許可があれば、相手方保険会社も整骨院の併用を認めてくれることが多いです。病状等を診察・診断できる医師の見解は重要であり、相手方保険会社も逆らうことができないためです。

一方、医師が整骨院の併用を否定している場合、「なぜ整骨院に通いたいのか」をしっかり説明し、許可してもらうのが望ましいでしょう。

まずは交通事故チームのスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします

交通事故被害者専門ダイヤル

0120-979-039

24時間予約受付・年中無休・通話無料

メール相談受付
交通事故の経験豊富な弁護士にお任せください

整骨院(接骨院)に通院する場合の注意点

整骨院にかかるにしても、整形外科には引き続き通うことが重要です。
整骨院にのみ通い続けると、相手方保険会社に「治療はもう必要ない」とみなされ、治療費の支払いを早く打ち切られる可能性があるためです。また、定期的に整形外科に通うことで、医師に怪我の状態を伝え、今後の方針についてアドバイスを受けることもできます。

むちうちの治療方法

整形外科のむちうち治療

むちうちの治療は、保存療法と理学療法が基本です。鎮痛剤や湿布が処方されたり、以下のような理学療法が行われたりします。

  • 牽引両方:機械や手で受傷部位を引っ張る
  • 電気療法:身体に電気刺激を与え、動作の回復や痛みの軽減を図る
  • 運動療法:運動により、可動域訓練や筋肉強化を図る
  • 温熱療法:ホットパックなどで筋肉を温め、血流の流れを促す
  • ブロック注射:局所麻酔を打ち、痛みの緩和や自然治癒力の向上を図る

整骨院(接骨院)のむちうち治療

整骨院(接骨院)では、主にマッサージによる施術が行われます。全身マッサージによって筋肉をほぐし、血行を良くする方法や、骨を正常な位置に戻す“整体”などがあります。
また、整形外科と同じく、牽引療法や温熱療法が行われることもあります。

ただし、整骨院では基本的に投薬検査ができないため、筋肉への対症療法が基本となります。自覚症状をしっかり伝え、効果的な施術を受ける必要があります。

後遺障害等級認定を見据えて検査を受けましょう

むちうちによる痛みや痺れ等の症状が残ってしまった場合には、後遺障害等級認定の申請を行いましょう。後遺障害等級認定の申請のためには、主治医に後遺障害診断書を作成して貰う必要があります。
むちうちの場合、12級または14級に認定される可能性があります。(もっとも、12級は、残存する症状が医学的に証明できなければ認められないため、むちうちで12級が認められることは少ないものといえます)
後遺症の認定を受けるには、レントゲンやMRIなどの画像検査はもちろん、医師の触診やさまざまな神経学的検査をすべて受け、検査結果を記録することが重要です。
なお、神経学的検査には、皮膚の触角や痛覚を調べる「知覚テスト」や、神経がある部位を叩いて反射の程度を調べる「腱反射テスト」などがあります。

お困りのことがあったら弁護士にご相談ください

軽度なむちうちでも、整形外科でしっかり治療を続け、適切な賠償金を請求することが重要です。
しかし、通院の仕方について、相手方保険会社とトラブルになるケースも多いのが現状です。治療を早く打ち切ってきたり、低額の賠償金しか提示してくれなかったりすることもあります。
弁護士であれば、相手方保険会社に治療の延長交渉賠償金の増額交渉などを行うことができます。また、保険会社とのやりとりをすべて任せられるため、被害者の精神的負担も大きく軽減するでしょう。
弁護士法人ALG神戸法律事務所は、交通事故案件を多数解決しており、交通事故に精通した弁護士が揃っています。事故に遭われてしまった方は、ぜひお気軽にご相談ください。

神戸法律事務所 所長 弁護士 小林 優介
監修:弁護士 小林 優介弁護士法人ALG&Associates 神戸法律事務所 所長
保有資格弁護士(兵庫県弁護士会所属・登録番号:51009)
兵庫県弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。