子供3人分の養育費の相場はいくら?

離婚問題

子供3人分の養育費の相場はいくら?

神戸法律事務所 所長 弁護士 小林 優介

監修弁護士 小林 優介弁護士法人ALG&Associates 神戸法律事務所 所長 弁護士

未成年の子供がいる夫婦が離婚する場合、子供の親権をどちらが持つかという話に関連して、子供の「養育費」がよく問題になります。

離婚しても、親であることに変わりはない以上、子供と離れて暮らす親は、子供の「養育費」を支払う義務があるのですが、配偶者と揉めて離婚した、子供と面会できていない、再婚した、などの多くの事情があって、「養育費」が離婚後もずっと支払われているケースは必ずしも多くはありません

特に、子供が2人、3人など複数いる場合には、子供の生活費や学費など多額のお金がかかることが予想されるので、「養育費」がどれくらいの額になるのか、支払い等はどのようにされるのか、などが気になる方も多いかと思います。

そこで、離婚問題、養育費問題に精通した弁護士法人ALGの神戸法律事務所の弁護士が、子供が3人いる場合の「養育費」の取り決め方や増減があるのかなど詳しく解説したいと思います。

養育費の決め方

まず、「養育費」の決め方を見ていきましょう。
この点、「養育費」とは、子供の監護や教育のために必要な費用をいい、各家庭によって事情は異なるため、子一人当たり〇〇万円などと自動的に決まるものではありません

「養育費」の金額を算定するうえでは、子供の人数と子供の年齢、両親双方の職業や収入に加えて、私立学校へ通っているか大学の学費はどれくらいなのか、その他の要素も考慮しながら、当該家庭にとって適切な額がどれくらいかを決めていくことになります。
「養育費」の算定にあたっては、裁判所が基礎となる「養育費」の算定表を公表しており、子供が3人いた場合までの養育費額について、両親のそれぞれの収入ごとの目安が示されていますので、ご参照いただくと良いかと思います。

 なお、「養育費」については、以下の記事でも詳しく解説しておりますので、ぜひご参照ください。

養育費とは相場と変更方法

養育費に含まれるもの

「養育費」は、子供の監護・養育に必要な金銭ですから、「養育費」には、基本的には以下の費用が含まれることになります。

  • 衣食住に必要な経費(食費、住居費、水道光熱費、衣服購入費など)
  • 教育費(義務教育費用、公立高校の授業料など)
  • 医療費

そのため、「養育費」のほかに、教育費や医療費として追加の費用を支払ってもらいたい場合には、その内容や額を根拠資料とともに提示して説得する必要があります。

子供が3人いた場合の養育費の相場

子供が3人いた場合の「養育費」の相場を見ていきましょう。
上記のとおり、「養育費」は子供の人数、両親の職業・収入を考慮して具体的金額を算定していきます。

養育費を支払う側=義務者、養育費を受け取る側=権利者、として、双方の収入や、子供の人数・年齢によって、どのように養育費が変わるのかを以下の表を参考してみていただければと思います。

以下の表は、裁判所が公示する養育費算定表をもとにしていますので、ぜひそちらもご参照ください。

婚姻費用算定表で婚姻費用の相場を知る方法
義務者の年収 権利者の年収 子供3人 0~14歳 子供2人 0~14歳
子供1人 15~19歳
子供1人 0~14歳
子供2人 15~19歳
子供3人 15~19歳
200万円 0円 4~6万円 4~6万円 4~6万円 4~6万円
300万円 2~4万円 2~4万円 2~4万円 2~4万円
300万円 0円 6~8万円 6~8万円 6~8万円 6~8万円
300万円 2~4万円 2~4万円 2~4万円 2~4万円
400万円 0円 8~10万円 8~10万円 8~10万円 10~12万円
300万円 4~6万円 4~6万円 4~6万円 4~6万円
500万円 0円 10~12万円 10~12万円 12~14万円 12~14万円
300万円 6~8万円 6~8万円 6~8万円 6~8万円
600万円 0円 12~14万円 14~16万円 14~16万円 14~16万円
300万円 8~10万円 8~10万円 8~10万円 8~10万円
700万円 0円 14~16万円 16~18万円 16~18万円 16~18万円
300万円 10~12万円 10~12万円 10~12万円 10~12万円
800万円 0円 16~18万円 18~20万円 18~20万円 18~20万円
300万円 12~14万円 12~14万円 12~14万円 12~14万円
900万円 0円 18~20万円 20~22万円 20~22万円 20~22万円
300万円 14~16万円 14~16万円 14~16万円 14~18万円
1000万円 0円 20~22万円 20~22万円 20~22万円 24~26万円
300万円 16~18万円 16~18万円 16~18万円 18~20万円
義務者の年収 権利者の年収 子供3人 0~14歳 子供2人 0~14歳
子供1人 15~19歳
子供1人 0~14歳
子供2人 15~19歳
子供3人 15~19歳
200万円 0円 4~6万円 4~6万円 4~6万円 4~6万円
300万円 2~4万円 2~4万円 2~4万円 2~4万円
300万円 0円 6~8万円 6~8万円 6~8万円 6~8万円
300万円 2~4万円 2~4万円 2~4万円 2~4万円
400万円 0円 8~10万円 8~10万円 8~10万円 10~12万円
300万円 4~6万円 4~6万円 4~6万円 4~6万円
500万円 0円 10~12万円 10~12万円 12~14万円 12~14万円
300万円 6~8万円 6~8万円 6~8万円 6~8万円
600万円 0円 12~14万円 14~16万円 14~16万円 14~16万円
300万円 8~10万円 8~10万円 8~10万円 8~10万円
700万円 0円 14~16万円 16~18万円 16~18万円 16~18万円
300万円 10~12万円 10~12万円 10~12万円 10~12万円
800万円 0円 16~18万円 18~20万円 18~20万円 18~20万円
300万円 12~14万円 12~14万円 12~14万円 12~14万円
900万円 0円 18~20万円 20~22万円 20~22万円 20~22万円
300万円 14~16万円 14~16万円 14~16万円 14~18万円
1000万円 0円 20~22万円 20~22万円 20~22万円 24~26万円
300万円 16~18万円 16~18万円 16~18万円 18~20万円

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養育費の増減について

「養育費」は、一度決まってしまうと、その後増減することはないのでしょうか。

「養育費」は、上記のとおり、子供の監護・養育に必要な金銭なので、個別のケースにおいてその必要性が変わってくることは当然ありえます。
かかる観点から、一度決まった「養育費」を増減させることも可能であり、ただし、増減させるに足りる合理的な事情の変更が必要です。

「養育費」は、主に子供の人数や権利者・義務者の職業・収入により算定されるものですから、これら事項に関する事情について変更があった場合には、「養育費」の額の増減にあたって考慮されることになります。

そのため、離婚後子供と会わせてもらえていない、そのために支払う気がなくなったといった事情は、「養育費」の増減の理由にはならない点に注意が必要です。

「養育費」の増減するケースとしては、以下のような事情が挙げられます。

増額するケース
  • 子供が私立学校の通学している、あるいは入学することに同意している場合
  • 子供の習い事や塾代などで相場より教育費が高くかかる場合
  • 子供に持病があり継続的に高額な医療費が必要な場合
  • 3人のうちいずれかの子供が障害をもっている場合
減額するケース
  • 支払う側が子供の住む住宅のローンを支払い続ける場合
  • 受け取る側が就職して収入が増加する予定がある場合
  • 支払う側が前婚の時の子の養育費を支払っている場合
  • 受け取る側が再婚して、再婚相手と子供が養子縁組をする場合
増額するケース
子供が私立学校の通学している、あるいは入学することに同意している場合
子供の習い事や塾代などで相場より教育費が高くかかる場合
子供に持病があり継続的に高額な医療費が必要な場合
3人のうちいずれかの子供が障害をもっている場合
減額するケース
支払う側が子供の住む住宅のローンを支払い続ける場合
受け取る側が就職して収入が増加する予定がある場合
支払う側が前婚の時の子の養育費を支払っている場合
受け取る側が再婚して、再婚相手と子供が養子縁組をする場合

「養育費」の増額請求、減額請求については、以下の記事でも詳しく解説しておりますので、ぜひご参照ください。

養育費の減額請求 養育費の増額請求の進め方

3人の養育費が支払われる期間

子供の「養育費」はいつまで支払われるのでしょうか。

この点、「養育費」の支払いの終期は、法律で「○歳まで」と決まっているわけではありません。
しかし、実務上20歳までと定めることが一般的です。

これは子供が成人年齢に達する年齢を考慮したものですが、成人年齢が18歳に引き下げられた現在においても、「養育費」の支払い終期は20歳までと基本的にされています。
他方、現在の日本においては大学への進学率が高く、「養育費」の終期を一般的な大学卒業時の年齢である22歳までとするケースも見受けられます。

「養育費」は、本来的に離婚する両者の合意によって決められ、子供の監護・養育の費用として決められる事柄であることから、こうした柔軟な取り決めも可能です。

養育費の対象とならない期間

それでは、「養育費」の支払いの対象とならない期間はあるのでしょうか。

この点、「養育費」は、子供の監護・養育のために必要なお金である以上、監護・養育の必要がない、あるいは、監護・養育費が必須ではないような場合には、「養育費」の支払いの対象とならない可能性があります。

具体的には、以下のとおりです。

  • 高校卒業後に働き始める
    高校卒業後に働き始めるということは、経済的に自立するものといえますので、「養育費」の支払いは不要と考えることになります。
  • 成人しているがニート・フリーターで自立ができていない
    子供が成人した後は、大人として経済的に自立することが期待されるため、大学や専門学校などに進学していないようなケースで、働いていないことに合理的な理由がない場合には、「養育費」の支払いは不要と考えられる可能性があります。
  • 大学院や留学の費用
    「養育費」の支払いは、実務上は長くとも22歳までとすることが多く、当事者間で大学院への進学や留学について従前に合意がない場合には、大学院の費用は留学の費用も必須の教育費には含まれないと判断されることがありますので、注意が必要です。

子供が3人いた場合の養育費に関するよくある質問

それでは、子供が3人いた場合の「養育費」についてよくある質問を取り上げたいと思います。

3人分の養育費を一括で受け取ることはできますか?

「養育費」を一括で受け取ることは可能です。 ただし、「養育費」は子供の日々の生活費ですので、月々支払うのが原則とされており、また、一括支払いの場合の合計額は相当高額になるケースが多いと思われ、現実的にも月々支払うことになる場合がほとんどです。

ただし、もちろん、夫婦間で一括支払いでの合意が成立していれば支払いを受けることは可能ですが、「養育費」の支払い対象となる子供が3人ですので、子供ごとに「養育費」の額や支払終期などを詳細にして一括の支払いの内訳をわかるように書面で残しておくことをお勧めします。

再婚した場合は養育費を受け取ることはできませんか?

再婚したからといって、直ちに、元夫から「養育費」を受け取ることができなくなるわけではなく、取り決めた「養育費」を引き続き受け取ることは可能です。

しかし、再婚相手と子供3人とが養子縁組して、再婚相手が子供3人の養父となった場合には、再婚相手が第一次的な扶養義務者となり、元夫が第二次的な扶養義務者となるため、再婚相手が優先的に子供3人を扶養しなければなりません。

そのため、養子縁組をした場合には、養育費を減額されたり、受け取ることができなくなったりする場合があるので注意が必要です。

3人の子供の養育費について離婚問題に詳しい弁護士にぜひご相談ください

以上、3人の子供がいる場合の「養育費」に関して問題となる点、注意点等を見てきました。

離婚したとはいえ、父母の二人の間から生まれた子供のことを双方が真摯に考えながら「養育費」の問題に向き合っていくべきではありますが、やはり、離婚の経緯、離婚後の事情、経済的余裕などからなかなか冷静に話し合うことは難しい面もあります。
特に、子供が3人もいることで、親権者として子供を育てていく側も十分な金銭が必要でしょうし、他方で、子供と疎遠となってしまうことで養育費を支払う額を抑えたいと思う方もいるでしょう。

こうした双方の思い、意向などは食い違うことが多く、自身の権利・利益の実現のためには、どのように話し合いを進めていくか、どの点を注意すべきか、どのように手続きを進めていくかについてしっかり理解しておくことが必要です。
弁護士法人ALGの神戸法律事務所の弁護士は、離婚問題だけでなく、養育費の問題、強制執行の問題など離婚に関連する問題に幅広く精通しているので、きっとお力になれると思います。お困りの方は、ぜひ一度弊所にご相談ください。

神戸法律事務所 所長 弁護士 小林 優介
監修:弁護士 小林 優介弁護士法人ALG&Associates 神戸法律事務所 所長
保有資格弁護士(兵庫県弁護士会所属・登録番号:51009)
兵庫県弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。