遺留分とは|不公平な相続割合で揉めないための方法

相続問題

遺留分とは|不公平な相続割合で揉めないための方法

神戸法律事務所 所長 弁護士 小林 優介

監修弁護士 小林 優介弁護士法人ALG&Associates 神戸法律事務所 所長 弁護士

【遺留分】に関して問題が生じるのは遺言書があるが基本です。
例えば、親が亡くなった際、複数いる兄弟のうちの一人にすべての遺産を相続させる内容の遺言が残っていた場合、他の兄弟は当然ながら不満を覚えるものです。
その際に問題になるのが【遺留分】です。
以下では、故人(以下、「被相続人」といいます。)の遺産に対して、【遺留分】の問題が生じるのがどのようなケースかを、相続問題、遺留分問題に精通した弁護士法人ALGの神戸法律事務所の弁護士が詳しく解説していきます。

遺留分とは

【遺留分】とは、端的に言えば、「法定相続人」(法律上、被相続人の遺産を相続できるとされる人)が、最低限相続できる財産のことです。【遺留分】の制度は、遺族の生活を保障することに目的があるとされています。
「法定相続人」には、相続できる順番(相続順位)と、相続できる遺産の取り分(法定相続分)が法律で定められています。
「遺言書」がない場合には、法定相続人が、相続順位とおりに、法定相続分に従って遺産を相続しますが、特定の相続人に遺産を全て相続させる「遺言書」があった場合などは、他の法定相続人が相続できない内容になっています。このようなケースでも、相続できなかった相続人は【遺留分】を請求することで、最低限の遺産は相続できることになります。
この【遺留分】の請求を、遺留分減殺請求もしくは遺留分侵害額請求といいます。

遺留分の請求が認められている人

【遺留分】は、すべての法定相続人に認められているものではなく、認められる対象が限定されています。
【遺留分】の請求が認められているのは、「兄弟姉妹以外の相続人」とされています(民法1412条)。
つまり、遺留分侵害額請求をすることができるのは、①配偶者、②直系卑属(亡くなった人の子供、孫等)、③直系尊属(亡くなった人の親、祖父母等)となります。
なお、相続順位も影響してくるため、被相続人に②子供がいる場合には、被相続人の③直系尊属は、遺留分侵害額請求をすることができる立場にはありません。

遺留分の請求が認められていない人

上記では、【遺留分】の請求が認められる対象に言及しましたが、遺留分の請求が認められている人は限定されています。
以下、【遺留分】が認められていない相続人について見ていきましょう。

兄弟・姉妹

法定相続人の中でも、被相続人の兄弟姉妹は、【遺留分】の請求が認められていません。
兄弟姉妹は、配偶者や子供や孫に比べて、被相続人との結びつきが強くないと考えられているためです。
【遺留分】の目的は、遺族の生活を保障することですから、基本的には、別に生計を立てているであろう兄弟姉妹の生活までをも保障する必要性が低いといえます。

相続放棄した人

【遺留分】の請求をすることができるのは、当然ながら相続人である必要があります。
しかし、相続放棄をした人は、文字通り、相続することを放棄することであり、その被相続人の相続に関しては、最初から相続人にならなかったものとみなされます(民法939条)。
そのため、相続放棄をした場合には、【遺留分】の請求をすることもできなくなります。

相続欠格者にあたる人

相続欠格者に該当する人には、【遺留分】 の請求が認められていません。
相続の欠格とは、民法891条各号に該当する事由があった場合(被相続人または先順位等の相続人を死亡させたりして刑に処せられた者や詐欺または強迫により、被相続人の遺言書させるなど)です。この場合には、欠格者は、被相続人の相続人になることができなくなります。
民法891条各号に該当する行為を行い、相続の欠格に該当する人には、遺留分が認められていません。ただし、相続欠格者がいる場合でも、代襲相続は生じるため、代襲相続人は【遺留分】の請求をすることができます。

相続廃除された人

相続排除をされた人は、相続権を失うことになります(民法887条2項)。
相続排除とは、将来相続人になるであろう者が非行を行った場合や被相続人に対する虐待若しくは重大な侮辱をした場合に、被相続人の意思に基づいて、当該行為を行った者の相続資格を剥奪することができるというものです。
そのため、相続排除をされた人は、相続人として取り扱われないため、【遺留分】の請求をすることはできません。

遺留分を放棄した人

【遺留分】の放棄をした人も、当然、【遺留分】の請求をすることはできません。
【遺留分】の放棄とは、相続放棄する場合と異なり、遺産を受け取る権利をすべて失うのではなく、遺留分のみを放棄することをいいます。
もっとも、【遺留分】を被相続人が亡くなる前に放棄したい場合、家庭裁判所の許可が必要とされています。このような許可が必要とされるのは、【遺留分】を請求させないように、被相続人や他の相続人となる者が強要することを防ぐためです。

遺留分侵害額請求権と代襲相続

代襲相続とは、相続人となる者が相続開始以前に死亡してしまったり、相続欠格や廃除等の一定の事由によって相続権を失った場合、その相続人の子供がその相続人に代わって、相続することをいいます。
このような代襲相続の場合でも、代襲相続者は、【遺留分】の請求をすることができます。

遺留分の割合

各相続人の具体的な遺留分割合
相続人 全員の遺留分の合計割合 配偶者 子供 父母 兄弟
配偶者のみ 1/2 1/2 × × ×
配偶者と子供 1/2 1/4 1/4÷人数 × ×
配偶者と父母 1/2 2/6 × 1/6÷人数 ×
配偶者と兄弟 1/2 1/2 × × ×
子供のみ 1/2 × 1/2÷人数 × ×
父母のみ 1/3 × × 1/3÷人数 ×
兄弟のみ × × × × ×

【遺留分】を請求できる場合に、どの程度【遺留分】として受け取れるかは、「遺留分割合」によって決まります。
「遺留分割合」については、民法1042条1項が規定しており、直系尊属(父母など)のみが相続人になる場合には3分の1、それ以外の場合には2分の1と定められています。
被相続人に配偶者と子供が二人いた場合で、兄に全ての遺産を相続させる遺言書を残して死去したケースを例に考えてみましょう。
まず、被相続人の遺産のうち、1/2が配偶者と子供二人全員の遺留分となります。
その上で、その1/2にあたる1/4が配偶者の「遺留分割合」となります。
そして、残る1/4について、子供二人がそれぞれ1/8ずつの遺産について遺留分を持っていることになります。

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遺留分の計算方法

【遺留分】の計算方法ですが、上記したとおり、基本的には、対象となる遺産についての遺留分割合をもとに計算していきます。
ただし、対象となる遺産については、「被相続人の死亡時に所有していた財産」だけでなく、「贈与した財産のうち遺留分算定に含まれるもの」を加えて「債務額」を除いて計算します。
つまり、
「被相続人の死亡時に所有していた財産」+「贈与した財産のうち遺留分算定に含まれるもの」-「債務額」
で算出されます。
なお、財産そのものの金額的な評価については、各財産の種類によってさまざまな評価方法、基準がありますので、この点も注意が必要です。

遺留分を貰うには、遺留分侵害額請求を行う

【遺留分】が侵害されている場合においては、多くの遺産を受け取っている者に対して、『遺留分減殺請求』ないし『遺留分侵害額請求権』を行使する意思表示をしなければ遺留分を受け取ることはできません。
つまり、【遺留分】を貰うには、【遺留分】の請求を明確に行う必要があるということです。
ただし、『遺留分減殺請求』ないし『遺留分侵害額請求』は、相続開始及び減殺すべき遺贈等があったことを知ったときから1年以内に行使しないと、時効により消滅してしまいますので、ご注意ください。

遺留分を渡したくない場合にできること

【遺留分】を渡したくない場合でも、基本的には、【遺留分】は法律で認められた権利であるため、遺留分を渡さない方法や遺留分を減らす方法はありません。
ただし、【遺留分】を侵害していても、その相続人が【遺留分】の請求を行わない場合には、【遺留分】を渡す必要はありません。
また、【遺留分】の請求を行っている相続人が、被相続人の財産を生前受け取っている場合があり、渡す金額を減らしたり、0にしたりできることがあります。
他にも、【遺留分】の請求をしている相続人の主張する遺産についてその適切な価値を算出することにより、支払う額を小さくできる可能性があります。

遺留分の権利者が亡くなった場合はどうなる?

【遺留分】の請求を行使することができるのは、「遺留分権利者及びその承継人」(民法1046条)です。
したがって、【遺留分】の権利者が死亡していた場合でも、その相続人が【遺留分】の請求をすることができます。相続人は、被相続人の権利義務をそのまま受け継ぐため、【遺留分】の権利者が有していた遺留分の割合をそのまま受け継ぐことができます。

遺留分に関するお悩みは弁護士にご相談ください

【遺留分】は、法律上認められた権利なのですが、特定の相続人にすべての遺産を相続させる遺言書があるなど紛争性の高い問題です。
また、【遺留分】の計算が非常に煩雑であるため、【遺留分】の請求に関する紛争は非常に複雑な主張が展開されることがあります。特に、【遺留分】を算出するにあたって、特別受益があるか、遺産、例えば、不動産等はどのように計算するのか等と複雑な事項が複数存在しています。
そういった場合に、分からないまま対応すると、法的に全く意味のない主張を展開してしまう場合があるのみならず、かえってご自身に有害な主張を行ってしまう場合もあります。
さらに、【遺留分】の問題を避けるために、生前の相続の対策もしたいという需要もあります。
このような【遺留分】の問題については、相続問題、遺留分問題に精通した弁護士法人ALGの神戸法律事務所の弁護士にぜひご相談ください。

神戸法律事務所 所長 弁護士 小林 優介
監修:弁護士 小林 優介弁護士法人ALG&Associates 神戸法律事務所 所長
保有資格弁護士(兵庫県弁護士会所属・登録番号:51009)
兵庫県弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。