医療過誤の類型
監修医学博士 弁護士 金﨑 浩之弁護士法人ALG&Associates 代表執行役員 弁護士
- 類型
医療過誤とは
- ・診断を受け、治療や投薬が行われていたが、結果的に受けた診断結果が違っていた。
- ・癌の治療後、定期的に通院していたものの、癌の再発が疑われ、検査をしたときにはステージがかなり進行していて手遅れの状態になっていた。
- ・精密検査のために入院したものの、その検査により死亡してしまった。
- ・術後入院中の患者が感染症を発症し、死亡した
- ・入院中の患者がトイレに行く途中に転倒し、腰の骨を折ってしまった等々
これらのケースが全て医療過誤に該当するでしょうか。
答えは、上記の情報だけでは不明という他ありません。
医療過誤とは、医療行為に関連して生じた事故のうち医療側に法的に責任のある場合をいいます。
そのため、“医療過誤”に該当するには、①医療機関側に過失が認められることと②当該過失によって後遺症や死亡との間に因果関係が認められることが必要となります。
したがって、結果的に悪しき結果が生じたことをもって医療過誤であったと判断されるわけではありません。過失の有無や因果関係については、医療記録や第三者の医師の意見等に照らし、精査をしなければ、“医療過誤”に該当するかについての判断を行うことは極めて困難といえます。
医療過誤の類型について
(1)作為型、不作為型
薬にも副作用があるように、検査や治療にも一定のリスクを伴います。
検査、治療、投薬等の医療行為を行ったことにより、悪しき結果が生じた場合(一定の行為が介在することによって悪しき結果が生じた類型)を「作為型」といいます。
それに対し、患者の状態や検査結果等に照らし、本来行うべきであった検査、治療、投薬を怠ったことにより、悪しき結果が生じた場合(本来行われるべき行為がなかったことによって悪しき結果が生じた類型)を「不作為型」といいます。
作為型に比べ、不作為型の場合には、医療記録に残っている情報そのものがないため、過失や因果関係の立証が困難な場合があります。
(2)場面ごとの類型について
ア 医師の治療について
手技ミス、見落とし、鑑別・評価の誤り(癌ではないと考えていたが、癌であった等)、転送義務違反、説明義務違反等
イ 投薬について
薬剤の種類(禁忌とされている薬の投与等)、投与量、投与期間の誤り等
ウ 看護・管理について
術後管理の懈怠、誤嚥・窒息、転倒・転落、体位変換の懈怠(褥瘡の発生)等
エ 医療機器について
医療機器の点検・確認不足等
この記事の執筆弁護士
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大阪弁護士会所属
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保有資格医学博士・弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:29382)東京弁護士会所属。弁護士法人ALGでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。
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