医療訴訟の流れ

代表執行役員 弁護士 金﨑 浩之

監修医学博士 弁護士 金﨑 浩之弁護士法人ALG&Associates 代表執行役員 弁護士

  • 訴訟

医療訴訟の流れ

①証拠の収集

まずは、医療過誤といえるかどうかを判断するための医療記録(診療録、検査記録、看護記録、検査報告書等)を収集する必要があります。

医療記録を取得する方法は、以下の2パターンあります。

ア 証拠保全
裁判所に証拠保全の申立てを行い、裁判官らが当該病院に赴き、診療録等の提示を求め、検証を行う手続です。
イ 任意開示
当該病院に対し、診療録等の医療記録の開示を求める手続です。

どちらのパターンで取得すべきかは事案によって慎重に判断しなければなりません。

②医療調査

収集した医療記録を元に、第三者の医師に対し、過失や因果関係に関する医学的知見や意見を求めます。

医療調査の目的は、①本件事案が医療過誤に該当するかの鑑別及び②訴訟等の後に控える法的手続の見通しを立てることにあります。

医療調査は、単に医療記録を第三者の医師に見てもらうのではなく、法的に問題となる部分について医学的知見や意見を求めるものであり、後々の裁判に使用できる資料(証拠)を作成するという点でも、法的な視点が必要であり、弁護士の関与が不可欠といえます。

③訴訟、調停、交渉等の法的手続

医療過誤訴訟の統計

(1)勝訴率

最高裁判所が発表している地裁民事第一審通常訴訟事件・医事関係訴訟事件の認容率は以下のとおりです。

通常訴訟医事関係訴訟
平成23年84.8%25.4%
平成24年84.4%22.6%
平成25年83.6%24.7%
平成26年83.7%20.4%
平成27年83.3%20.6%
平成28年80.0%17.6%
平成29年84.9%20.5%

注)認容率とは、判決総数に対して認容(一部認容を含む。)件数を占める割合です。 地裁民事第一審通常訴訟事件は、地方裁判所の医事関係訴訟事件も含みます。

上記のとおり、通常訴訟事件に比べ、医事関係訴訟事件の勝訴率は低いといえます。

しかし、上記の割合には和解で終了している事件が含まれておらず、実質的に原告の請求が認容される形での和解で終了している事件もあります。そのような事件も含めると実質的な勝訴率は上記の割合よりも増加すると考えられます。

(2)審理期間

最高裁判所が発表している医療関係訴訟事件の処理状況及び平均審理期間は以下のとおりです。

新受既済平均審理期間(月)
平成23年76980125.1
平成24年78784424.5
平成25年80180323.3
平成26年86479322.6
平成27年83078722.8
平成28年87079023.2
平成29年85778224.2

注)地方裁判所及び簡易裁判所の事件が含まれています。 平均審理期間は、各年度の既済事件のものです。

上記のとおり、医療訴訟は訴訟提起から解決までに約2~3年かかります。

そのため、証拠の収集から起算すると約3~4年程度かかり、解決までには長期間を要することも医療訴訟の特徴といえます。

この記事の執筆弁護士

弁護士 宮本 龍一
弁護士法人ALG&Associates 弁護士 宮本 龍一
大阪弁護士会所属
弁護士法人ALG&Associates 代表執行役員 医学博士 弁護士 金﨑 浩之
監修:医学博士 弁護士 金﨑 浩之弁護士法人ALG&Associates 代表執行役員
保有資格医学博士・弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:29382)
東京弁護士会所属。弁護士法人ALGでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。

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